良い試合でしたねー。ホントに。好対照な両チームでしたから噛み合う展開になると思ってましたが、予想通りでした。結果はアーセナル贔屓(というかパスサッカー贔屓)の自分には少々残念でしたが、ドログバ様のあのプレーみるとしゃーないですね。
・Jとプレミアの「単純な差」
試合評の前に、プレミアリーグがBSで放送されていますが、見ていると日本との差が「単純」なものである事が分かってきます。まあ、体格差とかは置いておいてね。
ずばり、「止めて蹴る」「次何をする」という部分の洗練度。
戦術云々以前の単純な差ですが、これが一回り違うとチーム力は大きく違うことは言うまでもありません。特に「止めて蹴る技術」。この技術が低いとボールロストやつまらないミスが多くなり、試合自体もモヤついてしまいます。スピーディーとプレミアリーグが言われるのはフィジカルを生かすサッカーが根付いているためですが、止めて蹴る技術に関してもやはり世界最高峰といわれるのにふさわしいかと。
「次何をする」という部分については、試合評で詳しく。まあ、誰もが目を見張るセスクとテリーのプレーについてですけどね。セスク大好き。
・アーセナルの考え方
何試合も見ているわけではないのですが、アーセナルは個を生かす考えが基本。アンリが抜けた今年は当然戦力ダウンなわけで、現有戦力をどう組み合わせるかということと、アンリが持っていた個性をどうチーム内で変化させるかがポイントになったはずです。結果は見ての通り。
アーセナルは両サイドに縦に強い選手が前後に配置され、CB除く中央の選手は流動的に動く選手です。ただし、これは固定形ではなく、選手の能力を考えて配置された結果そうなっている状況。本来はリュングベリ+ピレスのようにオールラウンダー+アタッカーといった組み合わせがアーセナルの形ではないかとおもいます。
・チェルシーの考え方
アーセナルとは逆に戦術志向が強いのがチェルシー。グラント監督になってもそれは変わりません。前監督の印象が強すぎるせいだけではなく、チェルシーの選手構成は戦術采配を考えての選手構成になっています。よく分かるのが両SBで、攻撃はベレッチ・ブリッジ、守備はアシュリーコール・パウロフェレイラとともにハイレベルな選手ながら特徴がはっきりと異なっています。
戦術采配を成り立たせるために欠かせないのがFWの得点力。スーパーなFWと言い換えてもいいです。チェルシーのFWはご存じ、ドログバとアネルカ。相手チームからしたら反則以外のなにものでもありませんね。
・驚異のダブルボランチ!
前半はアーセナルペース。アーセナルのパスワークとチェルシーの組織守備が激しすぎる火花を散らす展開になったわけですが、アーセナルがペースを握った要因はいうまでもなくプレミア最高のボランチコンビ、セスクファブレガスとフラミニ。
チェルシーはエッシェンを右SBで起用し、中盤はジョーコール・バラック・ランパード・マケレレという構成だったのですが、セスクとフラミニに主導権を握られてしまいました。チェルシー側から見ると両サイドは止められるのですが、中央ではボールをもたれてしまう感じだったと思います。
これは正直システムや選手の相性ではなく力量だと思いました。セスクが凄すぎる。トラップやボールさばきの的確さもさることながら、パスの精度が異常なほど正確かつ戦術的にも厳しいところばかりついてくるのですから、チェルシーは相当嫌だったと思います。
フラミニも目立たないのですが、ボール回しは非常に正確で守備的ボランチとしては素晴らしいレベルですし、カバーリングも的確の一言。何より二人とも一対一でほとんど負けていなかったのが良かったです。
・ゴールに迫るチェルシー
チェルシーはシンプルにゴールに迫るパスを狙うプレイをしていました。アーセナルは攻撃に人数をかけるため、特に両SBの片方が上がったスペースが狙い目となります。ただ、半端な攻撃では立ちふさがるCBギャラスとコロ・トゥーレが簡単に跳ねかえしてしまいますし、遅れるとフラミニとセスクがすぐにスペースを消してしまうので、ゴールに迫るのはたやすくありません。
そこで目を引いたのがCBテリー。アーセナルの布陣を見て、最終ラインから直接ドログバへのロングボールを蹴り込んだり(しかもダイレクトで!)、ロングフィードをしてみたりと負担の大きな中盤の事も考え、自身でゲームメイクにも参加。雰囲気は地味で堅実なテリーですが、プレーは意外とそうでもなかったりします。とてもシンプルにプレーしているからでしょう。(FKから空中でまたぎヒールとかしてましたが)
・セスクとテリーから考える「次何をする判断力」とJリーグのまずいプレー
戦術理解力と言い換えることが出来るかもしれませんが、「実際のフィールドで何がおきているか把握する能力」とでもいいましょうか。
Jリーグでたまにゲーム展開とは違うプレーが出てしまいます。攻められ続けている状況で荒いロングシュート打ってみたり、ドリブルからのクロスが跳ね返されているのにまたドリブルからクロスしたり。どれが正解かとはいえませんが、「ベターではないのは確かなプレー」。
個人的に、トップレベルほどそういったプレーが少なくなるように感じます。今の日本代表やJリーグに大きく欠けている要素だと思うので、もう少し考えて欲しいですね。まあ、言うが易し、行うは難しだと思いますが……。
・サニャ、ゴール。グラントの選択
後半セスクCK→サニャでアーセナルが先制します。このゴールでチェルシー守備陣を責めるのはあまりに酷でしょう。あんなもん止められるか。
当然、反撃体制に入るチェルシー。戦術構成を変える判断が求められます。選択肢は考えられる限り、
1.そのまま同点を狙う。(選手交代のリスクを避ける。が、展開が変わる可能性は低い)
2.選手を入れ替える。(例 カルー→アネルカなど。アーセナルならこのパターン)
3.ポジションを変える。(例 ジョーコールとカルーのポジションを入れ替えるなど)
4.システムを変える。(例 エッシェンをボランチにあげて3−5−2。ハイリスクハイリターン)
5.選手もポジションも変える。
だいたい5つの方針。アーセナルが逆の立場になったなら、「1」か「2」以外は難しく、エブエ→ウォルコットか、エブエ→ベントナーがまず考えられます。(これは選手構成から逆算する考え方ですので、そうでないという意見はぜひコメントに。聞いてみたいです)
しばらく動かなかったグラント監督ですが、観客の声に押されるよう動きました。選んだのは「5」。
カルー ドログバ
バラック ジョーコール
ランパード マケレレ
Aコール テリー Rカルバーリョ エッシェン
から
ドログバ アネルカ
カルー ジョーコール
ランパード エッシェン
Aコール テリー Rカルバーリョ ベレッチ
に変更。この交代は戦術理解と自分の役割をきっちり把握していないとまず無理な采配です。
・決着をつけたのは、シンプルな2ゴール自分はエッシェンをあげるしかチェルシーがペースを奪う方法は無いと思っていましたが、エッシェンが中盤に入ったことで運動量が上がりアーセナルダブルボランチと中盤勝負で拮抗。さらに守備に難のあるアーセナル左サイドをベレッチがかき回し、アネルカがギャラス・コロトゥーレ相手に巧みなポストプレーを見せます。
アーセナルはサニャの負傷退場が痛く、アシュリーコールの働きもあり右サイドが沈静化。フィールド全体を使い揺さぶりをかけるアーセナルサッカーが徐々に陰りだします。
決着をつけたのは、的確なセンタリングから的確なヘディングでの落とし、そして的確なシュート。ロングボールからのドログバの2ゴールは、勝負強さとメンタリティが出たプレーだったと思います。怒濤の展開というよりは、自力のある両者ががっぷり四つで組み合いながら、要所要所によるわずかな力と運の差が試合を決めるという、典型的な好試合。お互いが前に出た試合の最後はやっぱりエースが決める、というのが好勝負の締めにふさわしかったですね。
長くなってすいません。Jとか代表でもこれくらい書きたくなる試合をみたいですね。明日はバーレーン戦についてやる予定ですが、3−5−2らしいですね。アジア選手権とか何考えて試合していたんでしょうかね。




